風の荘
2008年01月10日作成年月日 |
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2008年01月10日 |
風の荘 |
エネルギー・環境 |
地球環境 |
情報誌CEL (Vol.83) |
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人に優しく環境への負荷も少ない住宅
スイス発祥の「バウビオロギー」の考え方では、住む人の健康はもちろん、地球に対しても健康な住宅を目指している。このバウビオロギーを日本の気候・風土・慣習に合わせてアレンジした、日本で初めての『和のバウビオロギー』とも言うべき住宅が、二〇〇七年五月、京都市の金閣寺に隣接した敷地に誕生したミニエコビレッジの「風の荘」である。
金閣寺から徒歩数分の位置にありながらも、観光客の喧噪もほとんど聞こえない。千平米を超える敷地内には、現在は三棟の住宅が建てられており(将来的には五棟になる計画)、一部を除いて賃貸住宅として利用されている。
「全ての住宅が『人が健康に暮らせて、かつ建物の環境負荷を減らす』というバウビオロギーの原則に基づいて建設されています」と設計者でありバウビオロギストでもある渡邉公生さんは説明する。
「風の荘」の住戸の最大の特徴は、基本的に冷暖房設備が設けられていないということ。そして、渡邉さん自身が化学物質アレルギーであることから、人体への影響を考えて基本的に国産の無垢の木材を使うなど建築素材の選択には細心の注意を払っているという点だ。
「冷暖房ありきの生活が当たり前だという今の日本の住宅は人にも地球環境にも優しくありません。体温調整ができなくなったり、気管支炎やアトピーなどのアレルギーが発生したりする者が今の若者に多いのは、過剰な冷暖房の環境の中で育ってきたからでしょう」
そこで「風の荘」では、外気温より低い池の空気を部屋に取り入れることで室温を下げる工夫を施すなど、冷暖房を可能な限り使わないで暮らせるように、さまざまな工夫がなされているという。
「住宅を計画する際は、その土地が持つ情報を検証し、それを最大限に生かす」という渡邉さん。このようなエコビレッジがまちに点在するようになることで、まち全体がエコロジカルに生まれ変わることができる。バウビオロギーは、そうした大きな可能性を秘めている。