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情報誌CEL

橋爪 節也

2007年06月30日

連載「美術都市・大阪 発見」第五回 繁華街の装飾術―芝居町、モダン道頓堀―

作成年月日

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2007年06月30日

橋爪 節也

都市・コミュニティ

都市システム・構造

情報誌CEL (Vol.81)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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都市の個性の“最大瞬間風速”を感じさせるシンボリックな街がある。大阪なら、近松門左衛門の時代からの芝居町・道頓堀だ。浪花座、中座、角座、朝日座、弁天座の“道頓堀五座”やパリの凱旋門を思わす松竹座があった。“美術都市”はなにも、美術館の展示室や画廊にだけ存在するのではない。日常生活のなかに満ちるアート気分。大正・昭和の“大大阪”時代に芝居町で開花した掌のなかの美術の世界を愉しもう。

 芝居町はどのように彩られるのか。役者絵や芝居絵などは言うまでもなく、一つは芝居小屋の表に掲げられる大きな絵看板がある。大阪では現代まで五代つづく浮世絵師・長谷川貞信が得意とした。

 また道頓堀の浜側に芝居茶屋が並ぶのも芝居町らしい景観だった。紙幸、稲照、近安、三亀、松川、兵忠、大彌などの茶屋の軒先に提灯が連なる。このなかに美術と関係深い茶屋がある。三亀の主人が日本画家の大塚春嶺、その次男が舞台美術家・大塚克三であるし、大彌は後に「ダイヤ画廊」となった。

 ところで今回とりあげるモダンなパンフレットも、芝居町・道頓堀の魅力だろう。大正十二年(一九二三)に開設された松竹座。松竹楽劇部(後のOSK)の最初の本拠であり、現在は上方歌舞伎の拠点である。建て替えの時に復元保存されたネオ・ルネッサンス式のファサードは、“大大阪”時代の華やかさを伝え、いまも道頓堀のムードを高めている。

 

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