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情報誌CEL

石田 博之

2007年01月31日

時の話題 原油価格高騰の背景と今後の見通し

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備考

2007年01月31日

石田 博之

エネルギー・環境

省エネルギー

情報誌CEL (Vol.79)

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 近年、原油価格の高騰が続いている。国際石油市場の原油価格の指標であるニューヨーク・マーカンタイル取引市場(NYMEX)のウェスト・テキスト・インターミディエート(WTI)原油先物価格は、二〇〇六年七月一四日に、バレル当たり七七・〇三ドル(終値ベース)と史上最高値を更新した。その後、一〇月には五〇ドル台後半まで二〇ドル近くも価格を下げたものの、WTI原油先物価格の二〇〇六年の平均値は同六六・二ドルとなり、二〇〇四年の同四一・五ドル、二〇〇五年の同五六・七ドルを大幅に上回る高値となっている。

 こうした価格高騰の主な原因としては、?国際石油市場における需給のタイト化、?産油国(中東)情勢の不安定化、?石油先物市場に大量に流入している投資資金の影響等が挙げられる。まず、国際石油需給であるが、世界の石油需要は二〇〇四年に比べ二〇〇五年以降は伸びが鈍化したものの、アジア地域を中心に対前年比で一一〇B/D程度で増大を続ける一方で、二〇〇五年の非OPECの原油生産が、ロシアの増産鈍化、米国でのハリケーン被害による減産等によってほぼ前年並みにとどまったことなどから、市場全体でタイトな需給バランスが続いたことが挙げられる。

 次に、多くの重要な産油国において、様々な供給不安・支障が発生している。中東では、イラク国内の安定化・治安状況等に依然不透明感が残り、イランでは核開発問題等を巡り米欧との緊張関係が高まっている。そして、世界最大の産油国であり最大の余剰生産能力を保有するサウジアラビアにおいては、石油施設へのテロ未遂事件などが発生している。ナイジェリア等における政情不安定化、エネルギー部門への国家管理・関与を強めるロシアやベネズエラの動向等も、国際石油市場の安定性に影響をおよぼす要因となりうる。また、米国でのハリケーン被害やパイプライン破損のように、自然災害による石油供給チェーンへの影響、事故によるダメージ等のリスク要因の存在もある。

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