豊田 尚吾
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2006年09月30日 |
豊田 尚吾
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住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.78) |
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はじめに
現在、格差拡大問題に関するさまざまな書籍、雑誌の特集などがあり、多種多様な意見が飛び交っている。ここであえて季刊誌CELで取り上げるにあたっては、他者とは異なった切り口でこの問題を考えてみようという問題意識がある。詳しくは「CELからのメッセージ」を参照いただきたいが、簡単にいえば、生活者を取り巻くリスクとして格差拡大問題を位置づけ、リスクマネジメントを検討することを通じて、生活者の新しいライフスタイルのあり方を考察することが目的となっている。
拙稿においては、格差拡大論がもたらす不安や不満が生活充足感を低下させるということを問題視し、データ分析も含めながらその対応を検討する。
事実認識 生活意識調査から見た格差論
本節では、まず、事実としての格差論に関する認知状況を確認する。そのために、エネルギー・文化研究所が行っている生活意識調査のデータを分析する。
(1)生活意識調査
季刊誌CEL七四・七五号で特集しているように、大阪ガスエネルギー・文化研究所では、昨年春、「これからの住まいとライフスタイルに関する生活意識調査」(留置調査:層化二段無作為抽出法)を行い、一〇三四名の回答者から得たデータをもとに考察を行ってきた。そして昨年回答いただいた方を対象に、本年三月に再び郵送で追跡調査を行った(回答者四六八名)。また、これと並行して、同時期にネットを利用したアンケートも行っている(モニターに対する調査:昨年三月:回答者一〇七三名、本年三月追跡調査:回答者八二五名)。前者の調査(留置、郵送調査)においては若年層、特に二〇歳代の回答が相対的に少ないという問題がある。そこで今回は後者(ネット調査)の回答を加えた約一三〇〇(四六八+八二五)名のデータを利用して以下の考察を行った(注1)。