豊田 尚吾
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2006年09月30日 |
豊田 尚吾
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住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.78) |
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はじめに ―問題意識
今回の本誌のテーマは「生活者の格差論」である。既に世間で格差拡大論が、さまざまな形で取り上げられているのにもかかわらず、今なぜCELがこのテーマを特集するかについての問題意識を明確にすべきであろう。それは一言でいえば、格差拡大論の考察を通じて、新しいライフスタイルのあり方に関する示唆を得られると考えたからである。
格差拡大論が生活者に不安や不満をもたらし、結果として生活充足度が低下しているというのが基本的な問題認識である(※1)。このような「不安」や「不満」には生活のリスク認識が大きく影響している。従って、生活リスクマネジメントへの取り組みが、今後のライフスタイルを構築するための新しい要素になるはずだとの問題設定を行った。しかし、そのためには、現状の格差拡大論はあまりに論点が錯綜しすぎている。従って、ライフスタイル構築(向上)という切り口から整理する必要がある。
今回の特集を組むにあたり、以下のような論点整理を行った。すなわち、議論の焦点を絞り込むため、いわゆるジニ係数が上昇傾向にある(一般的に所得分配の不平等度が高まっていることを表す)という” 事実“を前提に、?この傾向は一時的か、持続的か、?ジニ係数の上昇傾向は問題か、問題でないか、それはなぜか、?問題があるとするならば、生活者のセキュリティ維持にどのような対策が必要か、ということである。このような分類をもとに、多様な分野の識者に論じていただくことで、CELなりの整理を行った。