田村 満子
2006年09月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
2006年09月30日 |
田村 満子 |
住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.78) |
ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。
二〇〇〇年に施行された介護保険制度の大きな見直しが、二〇〇六年四月にあった。改正の考え方として、「予防」「認知症」「一人暮らし」「高齢者の世帯」への対応を重視する点が追加されたといえる。これまでは、介護が必要になってから制度を利用し、自宅で暮らし続けるためには、家族の力を得ることが重要な条件といえた。
しかし今回は、なるべく介護が必要な状況にならないような生活を大切に考えるという面が、まずは確認されているといえる。次に、介護が必要となった場合も、特に認知症となった場合も、地域から離れないで暮らし続けることをめざしている。具体的には、これまでの大きな規模の特別養護老人ホームなどで対応するという考え方ではなく、地域の中の歩いて通える小さい規模の拠点を大切に考えるという方向をめざしている。
毎日の暮らしの中で、生活のリズムが崩れたり、同居する家族が『休みたい』と感じた時に、「泊まったり」「訪問介護員に来てもらったり」ということも、一つの拠点でできるように考えられている。あわせて「地域包括支援センター」という生活に関するさまざまな相談を持ち込むことができる拠点が新たに創られた。ここには、福祉・医療・保健などの専門家が配置されている。具体的には、「介護予防」に関する相談や手続き、サービス利用について、「高齢者虐待」をはじめとする高齢者の権利が侵害されていると思われるようなことが起こった場合の相談や対応について、また介護支援専門員(ケアマネージャー)が一人で悩んだり、抱え込んだりしないで仕事ができるよう支援していくことも、センターの重要な仕事となっている。何らかのサービスを利用するための手続きの窓口とは異なり、地域からのさまざまな相談に応じるという点で、これまでどこにも相談に応じてもらえなかったことがらも、今回の改正では対応可能な窓口が明確になったといえる。