服部 岑生
2006年06月25日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2006年06月25日 |
服部 岑生 |
住まい・生活 |
住生活 |
情報誌CEL (Vol.77) |
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ライフスタイルの変遷=向上型ライフスタイル
住宅の企画や計画の仕事を長年してきたが、右肩上がりの経済成長期であったマンションブーム、プレハブ住宅の普及や超高層住宅の建設ラッシュ、その反対の景気後退のオイルショックや、右肩上がり後のバブル崩壊の経験を振り返ると、理想とされるライフスタイルのイメージが、その時代の明るさや暗さをよく反映していることに気が付く。
二〇世紀後半、日本の戦争後の復活の時期は、近代化の夢がありながら伝統的な生活感が維持され、人格主義や倫理主義を前提に、勤勉な生活の価値観が基本となった。その後経済が安定し、明るくて未来を楽観的に予想する時期では、夢でしかなかった豊かな住まいとか海外旅行の欲求が盛り上がる。未来が暗く右肩が下がっていく時代では、成長していく要素は少なく我慢や禁欲的なイメージとなる。
とりあえずここで、ライフスタイルの流れを、戦争後の生活向上の意欲に満ちた「向上型ライフスタイル」から、現在比較的重視されてきた地球に優しい生き方やエネルギーを大切にする資源を守ろうとする生き方など「環境型ライフスタイル」へと名付けておきたい。
戦後の規律正しい住宅の配置、狭いが喜びのあった2DKの住まいなどは、まじめな労働と子女の教育によって明るい未来が生まれるという家族の希望のイメージが前提のライフスタイルに対応していた。映画「三丁目の夕日」を見た方は、そのシーンに思わず感動の涙を流されたのではないだろうか。生活とその希望、それを支えた衣食住のあり方は、現代の私たちにとって理想的な相互関係を持っていた。