松田 力
2006年06月25日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2006年06月25日 |
松田 力 |
住まい・生活 |
住生活 |
情報誌CEL (Vol.77) |
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「二住生活」とは、一言で言ってしまえば、都市と田舎に二つの住まいを持って、それぞれのいいところをいただきながらの調子いい生活ということになる。一重の経済で二重の住居費にならぬよう、生活空間に求めるモノを二箇所に分ける住まい方といえる。私は賃貸派建築家とも呼ばれることもあって、東京ではもっぱら賃貸のマンションに暮らしているが、お山に本宅があれば、都市の住まいに求めるモノはさして多くはない。どんなところであっても楽しく生活できてしまう。
住宅の設計などの仕事も多い私ではあるが、仕事がら、人の生活と住まいについては常に考えている。私は建築雑誌や婦人雑誌などのページを飾る革新的なデザインを好まない。どちらかといえば、社会学的見地から住宅の設計を行っているので、世間様から注目されるような建築家にはなり得ない。人が生きてゆく中で雨風を凌げるシェルターを必要としない日は一日たりともないわけだが、その時々で住まいに求める空間や機能は異なっていることを認識すべきだと思う。人にはライフステージがあるわけで、家族とともに過ごす住まい方は常に変化している。私は、可能な限り、その時々に合う空間に住んでいたいと思っている。アバンギャルドな芸術性の高い家も悪くはないが、そんなところに人は長く住んではいられないと思っている。