布野 修司
2006年06月25日作成年月日 |
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2006年06月25日 |
布野 修司 |
住まい・生活 |
住生活 |
情報誌CEL (Vol.77) |
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『「51C」家族を容れるハコの戦後と現在』
鈴木成文・上野千鶴子・山本理顕他著 平凡社 二〇〇四年
新しい居住スタイルに関する(意識に関する)一冊を、と言われて、すぐさま浮かんでくる本がない。本が書かれ、マニュアルが売れる事態が起こっているとすれば、もはや「新しい」段階は終わっているのではないか、などと思う。シェア・ハウスとか、コレクティブ・ハウスとか、カンガルー・ハウスとか、団塊世代の田舎暮らしとか、カルト集団の共同生活とか、外国人の共同アパートとか、風車やソーラーバッテリーのついたエコ・ハウスとか、オフィスをコンヴァージョンした住まいとか、思い浮かべてみると、興味があるのは新しい居住スタイルよりも、その容器の方である。すなわち、住居形式、居住空間の型の問題である。
住居という容器は、そもそも保守的なものだと思う。しばしば、新しい居住スタイルを生み出す阻害要因ともなる。この間、日本の居住スタイルを規定してきたのは、nLDKという居住形式である。あるいはnLDK家族ともいうべき近代家族(核家族)のかたちである。新しい居住スタイルが広範に生まれてきているとすれば、nLDK家族モデルが崩れてきているということになるが、はたしてそうか。 こうした問題を「51C」(公営住宅一九五一年のC型)にまで遡って議論しているのが本書である。