青木 辰司
2006年03月25日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2006年03月25日 |
青木 辰司 |
都市・コミュニティ |
地域活性化 |
情報誌CEL (Vol.76) |
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グリーン・ツーリズムその日本的背景
日本にグリーン・ツーリズム(以下GTと略)が提起されて一五年が経過した。その背景には、戦後の地域開発政策や農政の様々な矛盾があった。最大の失政はリゾート政策であったが、結果的にマスツーリズムの矛盾は衆知の事実となり、ツーリズムのオルタナティブとしてGTが登場した。
戦後一貫して農業生産性の向上を施策の中心としてきた我が国の農政が、農業・農村の多面的機能を活かす手法としてGTを提起したことは評価に値しよう。農政担当者は、都市住民のライフスタイルとしてのツーリズムの重要性について遅まきながら認識し、都市住民の滞在型交流活動を、政策支援の対象とするに至ったのである。
こうした国の政策転換に対し、現場の農山漁村や農民が素早い対応をしたかといえば、決してそうではない。その背景には、農山漁村特有の閉鎖性や保守性があったが、政策展開への最大の障壁は、?制度、?文化、?意識、の三重苦ともいえる特殊な日本的制約条件にあった。結論的にいえば、それは、?旅館業法はじめ各種規制の存在、?年次有給休暇に関するILO国際条約一三二号批准の未達成、?「横並び主義」による個人的事業化への社会的制約に集約される