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情報誌CEL

弘本 由香里

2005年12月25日

居住の軌跡は何を物語るのか-住居をめぐる生活者の意識と行動から 2-

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2005年12月25日

弘本 由香里

住まい・生活

住生活

情報誌CEL (Vol.75)

生活者の意識と行動調査はこちら

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 社会の変革期における生活者の居住をめぐる意識と行動のありようと、そこに垣間見えてくるニーズと現実の社会・生活との関係の軋みに着眼し、今後の政策展開の課題などを考察すること。そうした意図を持って、本誌七四(前)号では、昨年度、当研究所(大阪ガスエネルギー・文化研究所)が実施した生活意識調査から、居住に関わる項目の集計結果を概観しつつ、筆者の主観を交え簡単な考察を試みた。

 前回に続き今回は、同様の問題意識のもとに、同調査から居住履歴を中心とした回答に着目し、その軌跡が物語る社会潮流やそこに浮かび上がる課題を探ってみたい。

なぜ居住履歴に着目するか

 居住履歴に着目する理由はいくつかある。

 生活者が身を置く暮らしの場から社会の変化を捉えようとする時、生々しい亀裂や軋みの象徴として挙げられるものとして、「世代間ギャップ」や「階層格差(階層の二極化や固定化)」がある。こうした問題を乗り越えていくための糸口を、居住履歴との関係の中に捉えることができないかという思いが一つ。

 また、前回の考察の際に挙げた二つの着眼点と問題意識に繋がる思いもある。「ライフサイクルやライフコースの多様化がもたらす居住ニーズ」と、「ストック活用型社会へのアプローチ」の二つの視点から導いた二つの問題意識。「住宅ストックの流通性を高めていく必要性は明らかであるにも拘わらず、生活意識や行動における公共性の形成、ニーズの社会化・制度化の未成熟や遅れによって、意識転換と政策転換が相互に進まない状況にあるのではないかという問題」と「生活の必要に応じて住み替える合理的な居住の選択への転換を進めていく必要があるにも拘わらず、所有を前提とした生活者の意識や行動が、利用を前提とした生活者の意識や行動における公共性の形成を疎外し、意識転換や政策転換が相互に進まない状況にあるのではないかという問題」である。

 

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