中上 英俊
2005年12月25日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2005年12月25日 |
中上 英俊 |
エネルギー・環境 |
省エネルギー |
情報誌CEL (Vol.75) |
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時の話題 Commentary
省エネ法改正について
中上 英俊 Written by Hidetoshi Nakagami
はじめに
わが国の省エネルギー法(正確な名前は「エネルギーの使用の合理化に関する法律」)は、二度の石油危機を契機にして、エネルギー供給の大半を海外に依存するわが国において、限られたエネルギー資源の有効利用を図ることを目的に定められたものである。加えて、わが国の温室効果ガスの排出削減を定めた「京都議定書」が本年二月に発効したことを踏まえて、温室効果ガスの約九割を占めるエネルギー起源の二酸化炭素排出を、より一層抑制する必要があることから、エネルギーの使用の合理化に関する措置の強化・拡充が図られた。これが今回の省エネ法改正の背景である。この法律は平成一八年四月一日から施行されることになる。
改正案のポイント
今回の改正案のポイントは次の五点である
1.工場・事業場に対する規制区分の一本化
工場・事業場のエネルギー管理についての規制において、従来の熱と電気の区分を廃止し、熱と電気を一本化した一定規模以上のエネルギー使用者を対象としたこと。
2.運輸部門における省エネルギー対策の新規導入
これまでは対象外となっていた運輸部門において、一定規模以上の貨物輸送事業者、旅客輸送事業者および荷主に対し、省エネルギー計画の策定、エネルギー使用量の報告を義務づけるとともに、省エネルギーに対する取り組みが著しく不十分な場合には、主務大臣が勧告、公表、命令を行う等の規制を課したこと。
3.登録調査機関による確認調査の導入
工場・事業場が、登録調査機関の確認調査を受け、省エネの取り組みが十分であると認められた場合は、現行法において義務づけられている定期報告の提出および合理化計画の作成等に関わる規定は適用しないこと。
4.住宅・建築物分野の省エネルギー対策の強化
特定建築物(二〇〇〇平方メートル以上の住宅以外の建築物)の新築時に、建築主に義務づけられている所管行政庁への省エネルギー措置の届け出に、大規模修繕を行う場合も追加された。また、これまでは対象外であった住宅においても、一定規模以上の住宅にあっては、非住宅建築物と同等の届け出義務が課せられたこと。
5.消費者への省エネルギーへの取り組みを促す規定の整備
エネルギー消費機器の小売り事業者およびエネルギー供給事業者による、消費者に対する情報提供についての努力義務規定を設け、消費者による省エネルギーへの取り組みを促すこと。