堀 啓造
2005年09月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
関連リンク |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
2005年09月30日 |
堀 啓造 |
住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.74) |
ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。
「生活意識」ということばの「生活」ということばは曖昧であるが、日本人好みらしく肯定的意味でよく使われる。研究者を批判する時の「『生活感覚』が無い」などの言い方はその例である。「生活者」なども肯定的に人をとらえた時の言い方であろう。
「生活意識」は心理学用語にはない。生活意識と類似する用語を心理学、マーケティングの用語から探してみよう。生活意識が人間の行動を明らかにしようとしていることを手がかりに考えてみる。
生活意識と一貫性
一九〇〇年頃の人間が、なぜそのように行動するのかという問いかけに対する答えは「本能」であった。「本能」の次に考えられたのが「動機づけ」である。行動を引き起こすという機械論的な因果関係よりも緩い考え方が一貫性、つまりパターンがあるとするものである。何か個人の行動に一貫したものがあるという考えである。そのような考えのもとには、「態度」や「ライフスタイル」ということばがある。このようなラインに生活意識という用語もある。
(1)心理学からのアプローチ
人間の行動を解明するためにはさまざまなアプローチがある。人間の行動を探求する時に「何故」と質問を発することが多い。「何故」を考える時に主として考えられているのは動機づけや欲求である。
欲求論にはさまざまあるが、マズローの欲求階層説の影響が多方面に強い。マズローの考えの中で重要なのは、成長欲求・欠乏欲求である。欠乏欲求は食欲のように欠けているから、それを満たすものなら何でもいい。しかし、成長欲求は欠けているから欲しいのではない。例えば、尊重への欲求は何でもいいわけでなく、その人によって誉めてもらいたいこと、自慢したいことがそれぞれにある。それは子どもの頃に、何でも誉められれば喜んでいるのとは違っている。