CEL
2005年06月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2005年06月30日 |
CEL |
都市・コミュニティ |
コミュニティ・デザイン |
情報誌CEL (Vol.73) |
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地域の絆づくりが目的
「地域通貨」には、法定通貨では無理な財・サービスを評価することにより、それらの流通を活性化させようという目的のものが多い。既に日本各地では一五〇を超える地域通貨が生まれているが、その一つに、宝塚NPOセンターが発行している「ZUKA」がある。
「ZUKA」の特徴は、阪神・淡路大震災で被災した市民が、地域コミュニティの重要性に気付き、地域の絆づくりを目的として発行された点にある。現在は一種類の「ZUKA」が発行されており、その価値の目安として、三〇分のサービスに対して一枚の「ZUKA」が支払われている(感謝の度合いが高ければそれ以上も可)。
現在、提供されているサービスには、「パソコン指導」、「陶芸・料理の指導」、「掃除・買い物代行」、「育児・話し相手」、「車での送迎」などがある。
「『ZUKA』はボランティア的地域通貨です。参加したい場合は、例えば、カーボランティアや買い物の代行といったような、参加者が自分にできることをまず提出してもらいます。一方、お願いしたい人は自分がして欲しいことを書き出して事務局に登録しているので、地元のコーディネーターはいますが、基本的には自主的な交渉で需要と供給のマッチングを図っています」と今回のナビゲーターの山本麗子理事は説明する。
「ZUKA」のような互酬的取引の場合、やってあげる者とやってもらう者の間に対等な関係が生まれ、コミュニケーションの円滑化が進む。さらに、これまでコミュニティ内でつながりの無かった者同士が、通貨という媒体を通じて新たなネットワークを実現でき、その結果、定年退職者や子育てを終えた女性らが地域活動に参加するきっかけとなる。実際に、子供たちも参加するイベントを通じて世代間交流の手段としても成功したという。
このように「ZUKA」は、これを介して地域に住む人々が、忘れていた支え合いの大切さを再認識できる、貴重な例となっている。