CEL
2005年03月15日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
2005年03月15日 |
CEL |
エネルギー・環境 |
エネルギー・ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.72) |
ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。
「火」の持つ力を活かす
近代文明を生み出す大きな原動力となった鉄は、素材としての能力に加え、熱を加えることで、自在にその姿を変えられるという特性から、海外では造形作品の素材として用いる作家も多いが、日本ではまだまだ少数派である。しかし少ない中でも、独創的な鉄の装具を生み出している造形家はおり、その一人が松岡信夫氏だ。
公共施設や店舗、個人住宅などに採用されている松岡氏の作品の中でも、特に有名なのが、暖炉をはじめ照明器具や門塀といった建物の部材である。
「力のある建築家が生み出す住宅に負けない、存在感があるものを生み出そうとしています」と松岡氏が言うように、確かに建物と部材が相乗効果を生み出し、温かみや優しさがある個性的な空間が実現している。特に鉄製の暖炉は、その質感もあり、まさに『家族の中心』と呼ぶに相応しい重量感がある。
「暖房器具としては、暖炉よりはストーブの方が暖かいですが、揺らめく炎には、自然と人を集める力があるので、暖炉を設けることが多いですね」
今回の取材場所に指定された松岡氏の別荘「依水」にも、一階のリビングの一角に、黒い鉄製の大きな暖炉が設置されている。そして、その暖炉を正面とするように、床の木は並行に並べられ、またイス代わりになる階段が設けられている。実際に、暖炉に火が点されると、訪れた人は自然にその前に集まり、中には床に横になり寝てしまう人もいるという。