杉原 利治
2004年09月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2004年09月30日 |
杉原 利治 |
エネルギー・環境 |
環境対応 |
情報誌CEL (Vol.70) |
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環境家計簿とは?
資源・環境問題を深刻化させた大量生産、大量消費社会から、持続可能な社会への転換は、二一世紀の私たちに課せられた最大の課題である。環境問題を解決する方法としては、?科学・技術の発達、?法律による規制、?ライフスタイルの変更の三つが考えられる。中でも、現代の消費漬けライフスタイルの変更が最も重要だろう。
ライフスタイルとは『生活の仕方』である。それを記録し評価することによって環境意識を高め、エコライフを考えさせるためのツールが「環境家計簿」である。現在、自治体、NPO、企業などがさまざまな環境家計簿を作成している。それらは、環境項目をチェックするチェック型と、二酸化炭素生成量を計算する計算型とに大別されるが、両者の併用タイプも多い。また海外では、環境家計簿によく似たフットプリントが開発されている。
金銭出納を記録することにより、自分の家庭の経済状況と生活の仕方を把握し、改善を図る通常の家計簿が一般に普及したのは、経済的に厳しかった時代である。したがって、資源・環境問題が深刻な今日、環境家計簿に対して大きな期待がもたれている。
環境家計簿は活用されているか?
では現在、環境家計簿は広く活用されているだろうか。残念ながら、答えは「ノー」である。誕生してから二〇年、環境家計簿は、いまだ十分に活用されているとはいえない。その理由は、やはり環境家計簿自身にあるだろう。記入に手間取るだけでなく、効果が実感できないのだ。記入の煩雑さは、今後、家庭向けPOSシステムの発達やユビキタス社会の到来により、技術的に解決するだろう。問題はむしろ、実感できる効果が希薄なことにある。