鈴木 靖文
2004年09月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2004年09月30日 |
鈴木 靖文 |
エネルギー・環境 |
環境対応 |
情報誌CEL (Vol.70) |
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自分の力で発電して分かったこと
人間の力でどれだけのエネルギーが生み出されるのだろうか。自分の力で発電して、テレビを映すことができたら面白いだろうな…。そんな素朴な思いから、自転車をこぐ力で発電をしてテレビがつく装置を作ってしまった。
二〇〇二年に日韓共同開催されたワールドカップサッカーでは、街頭で自転車をこいで観戦する企画を行ったが、物珍しさがうけてか、アッという間に人だかりができた。小型のテレビをつけるのにもかなりペダルが重く、たいてい二分こいでいられない。回転が止まると、発電されなくなり無情にもテレビは消えてしまう。観客にも協力してもらい、交代しながら前後半あわせて九〇分間つけることができたが、あの時に筋肉痛になった人も多いのではなかろうか。
ともかく、小型のテレビをつけるだけでも大変なエネルギーが必要なことは、実際に体験してみるとよくわかる。家の中を見回してみると、テレビのように飾っておくだけでは意味をなさず、エネルギー(電気など)を消費してはじめて何かの役に立つ装置がたくさんあふれている。自転車一台で動かすことができるテレビは、むしろ消費エネルギーが小さい部類に入っており、エアコン(六〇〇ワット)を使うためには自転車一〇台、電子レンジ(一〇〇〇ワット)なら一七台、シャワー(二〇〇〇〇kcal/h)でお湯を浴びるにあたっては、なんと自転車四〇〇台が必要ということになる。扇風機(五〇ワット)をつけるのでさえ一人が必死でこぎつづけないといけないことを想像してみると、ゆっくりと涼んでもいられない。ましてエアコンなどつけようものなら、汗をかいて自転車をこいでいる一〇人の方に、申し訳ない気分にさえなってしまう。知らず知らずのうちに、大変なエネルギーを消費する生活を送っていることになるのである。