定國 由
2004年09月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2004年09月30日 |
定國 由 |
エネルギー・環境 |
環境対応 |
情報誌CEL (Vol.70) |
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緑地管理を住まい手に任せた第二フェーズ
大阪ガスが、二一世紀の住宅のあり方を検討するために建設した実験集合住宅「NEXT21」には、緑地が合計で約一〇一二平方メートルある(写真1)。住まい手は一六世帯。二〇〇〇年四月より実施している第二フェーズ居住実験では、この大規模な緑地の管理を、一六世帯の住まい手が全て行っている。
一九九四年四月から一九九九年三月まで実施した第一フェーズ居住実験では、住まい手による緑地管理は行っておらず、むしろ、野鳥や蝶の飛来数の確認、温熱環境調査などの対象としたため、住まい手の自由な手入れや立ち入りを制限してきた。その結果、住まい手にとっては、精神的安らぎなどのメリットが享受できる一方で、落ち葉や害虫などが発生した際には、自らで緑地に手を加え、問題解決をはかることがしにくい状況であり、結果的に、緑地は、管理者である大阪ガスに対するクレームの対象となっていった。
緑化建物の住まい手が緑地をクレームの対象として扱うのでは、緑化建物を長期間良好な状態に維持することは難しく、住まい手にとって魅力ある建物ともなりえないのではないか。そう考え、第二フェーズ居住実験では、緑地管理を住まい手に任せることで、住まい手自らが緑地を良好な状態に維持し、自分たちにとっても魅力ある住環境を維持するための可能性を探ることとした。
本稿では、第二フェーズで、実際に住まい手が緑地とどのように関わってきたのか、時間を追う形で紹介したいと思う。