松本 恒雄
2004年09月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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媒体(Vol.) |
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2004年09月30日 |
松本 恒雄 |
住まい・生活 |
消費生活 |
情報誌CEL (Vol.70) |
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時の話題 Commentary
改正された消費者基本法と消費者団体の役割
松本 恒雄 Written by Tuneo Matsumoto
三六年ぶりの基本法の改正
平成一六年の通常国会において、消費者保護基本法が、昭和四三年の制定以来、三六年ぶりに改正され、その名称も「消費者保護基本法」から「消費者基本法」へと改められた。
改正前の消費者保護基本法の基本的枠組みは、一方で、行政が強い立場の事業者を規制することによって、結果として消費者を保護するとともに、他方で、トラブルが生じた後に自治体の消費生活センターなどで解決のあっせんをするというものであった。そこでは、行政が主役であり、消費者政策とは消費者行政と同義であった。
消費者保護基本法の制定以来、サービスや契約に関する紛争の増加、若年・高齢者被害の増加、規制緩和、国際化、情報化など、消費生活をとりまく環境は大きく変化している。今回の改正は、消費者政策の枠組みを、このような日本社会の変化に対応させるためになされたものである。
消費者基本法の特徴としては、?消費者の権利と自立の支援を基本理念として掲げたこと(二条)、?自主行動基準の作成などによる消費者の信頼確保を事業者の努力義務として掲げたこと(五条二項)、?事業団体の独自の役割を明記したこと(六条)、?消費者団体の独自の役割を明記したこと(八条)、?紛争解決にあたっての都道府県の独自の役割を明記したこと(一九条)、?国民生活センターの積極的役割を基本法に位置づけたこと(二五条)、?「契約の適正化」を施策カタログに加えたこと(一二条)、?消費者の年齢その他の特性への配慮を求めていること(二条、五条一項)、などがあげられる。