CEL
2004年06月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2004年06月30日 |
CEL |
都市・コミュニティ |
まちづくり |
情報誌CEL (Vol.69) |
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古民家を「ハイブリッド再生」する
大阪平野の東南部は、古くから豊かな田園地帯として栄え、多くの集落が点在していた。羽曳野市古市地区も、その中の一つで、かつての竹内街道と東高野街道が交差し、さらには石川を使った水上交通の拠点として栄えた。その当時、街道沿いには、お大尽の住宅が並んでいたが、今や残っているのは、三〇〇年前に建てられたという古民家「H邸」だけ。一区画を占める巨大で威風堂々たる建物は、この地区に住む人たちの日常生活に欠かせないランドマークになっていた。しかし、経年変化により傾きが激しくなり、生活スタイルも変化して使いづらい空間構成になっていたことに加え、阪神・淡路大震災の影響で、さらに、いたみが加わったため建て替えを検討することに。だが、単に個人住宅としてだけでなく、町の財産ともいうべき存在になっていることから、残すことに意義があると判断し、改修(再生)工事を行うこととなった。
H邸の改修(再生)においては、伝統的な日本家屋が持つ力強い梁と柱、そして凝った建具など、それらを最大限に生かしながらも、基礎補強・耐震補強を含む軸組みの改修に加え、居室の配置を変えて開口部を新たに設けるなどして明るい空間造りや、現代的な要素として、アルミサッシをはじめ、屋根・壁・床の断熱と複層ガラス窓などを活用することで、断熱性に優れた快適な居住空間づくりにも成功している。さらに、太陽光発電などの最新の省エネルギー設備も導入しており、まさに「ハイブリッド再生」と呼ぶに相応しい建物に生まれ変わった。