CEL
2004年06月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2004年06月30日 |
CEL |
都市・コミュニティ |
まちづくり |
情報誌CEL (Vol.69) |
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古い町並みの魅力を再発見
大阪市内で、今でも昔ながらの町並みを残している地域が注目を集めているが、中でも空堀はどこよりも早く注目された地域として知られている。
空堀地区とは、大阪市営地下鉄「谷町六丁目」駅を中心とする、東西約八〇〇メートル、南北六〇〇メートルほどの広さの区域を指す。上町台地の一部でもあることから、町全体が西に下っており、その高低差を利用した長屋が並ぶ、いわゆる『立体的』な独特の構造をもっている。表通りともいうべき「空堀商店街」から一歩奥に入ると、細い路地が連続して続き、そこには大阪独特の長屋が軒を連ね、家の前に置かれた盆栽や鉢の緑が連続する先に、お地蔵さんが祀られる。そうした中に、さりげなくある老舗の食堂や、古い屋敷を利用した複合店舗など、個性的な店が点在している。
特に古い長屋を店や住まいに再生する動きは、ますます活発になっているという。この空堀の魅力に四半世紀も前に気づき、当時、イラストマップまで作り上げたDAN計画研究所所長の吉野国夫氏は「空堀には、大阪人なら世代を問わず、誰でも懐かしいと感じる町並みが奇跡のように残っていて魅了されます。さらに、昔ながらの都市の下町的コミュニティが今でも成立していますから、新参者でも、すんなりと町の住民になれるのだと思います」と説明する。
だが、そうした空堀にも時代の波は押し寄せ、所々空き地も見られるようになってきた。そこで、こうした『近代大阪の原点』ともいうべき魅力を残すため、大阪市では平野郷や住吉大社周辺で行っている市内における町並みや景観などの地域特性を生かすための「HOPEゾーン事業」(※)を、今度、空堀地区でも着手する予定だという。