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情報誌CEL

鳴海 邦碩

2004年06月30日

新旧の建物が入り混じった街並みの魅力

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2004年06月30日

鳴海 邦碩

都市・コミュニティ

まちづくり

情報誌CEL (Vol.69)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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 今からおよそ1 0 0 年前、1 9 世紀の最末期である1900年に、日本の総人口は4千万人であった。この4千万人の人々が暮らしていた地域は、江戸時代の名残を持った町や村であった。その後、日本の人口は継続的に増加し続け、その過程で、古くからの町が近代的な業務・商業中心に生まれ変わったところもあり、また新しい近代的な業務市街地や工場市街地、工場労働者のための密集住宅市街地などが形成されてきた。

 さらに交通機関の発達にともなって、郊外が生まれた。とりわけ1970年ごろからは、大都市の周辺地域に広大な住宅地が形成されてきた。そして現在の日本の人口は1億2千万人である。人口が増加した分、新しい町が増えたのである。このことを少し荒っぽくいえば、江戸時代の名残を持った町や村が3分の1、最近の郊外のようなまったく新しい町が3分の1、新旧が入り混じった町が3分の1あるということだ。それらが同時代的に存在していることを、もっと街づくりに生かすべきだと思う。

 近年、ストック再生が話題に上がるようになり、つくづく日本の都市成長が落ち着いたのだな、と思う。都市成長時代には、とにもかくにも新しいものが歓迎され、経済的な仕組みも、それを支えるようにできていた。例えば、土地つき戸建住宅では、建物には価値はなく、むしろ取り壊す費用が逆に必要とされ、もっぱら土地に価値があるとされてきた。また、マンションでは、買い換えが常識とされてきた。そうした状況を反映して、日本の建物はおどろくほど短命である。また、建築技術の進歩も目覚ましく、10年も経てば、技術的には、古い建物は陳腐化してしまう。まして50年も経てば、まったく時代遅れになっているといっても過言ではない。

 

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