真名子 敦司
2003年12月25日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
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2003年12月25日 |
真名子 敦司 |
エネルギー・環境 |
環境対応 |
情報誌CEL (Vol.67) |
「木」に期待されるもの
「木」は、人々の生活を支える住まいや道具などの基本的な材料として古くから広く使われ、一九世紀末、石炭にその地位を譲るまでは、世界の一次エネルギーの主役でもあった。
近代になり、科学技術の進展と高度経済成長にともなって、鉄、コンクリート、プラスチックなどの鉱物資源や化石資源起源の素材と、電気、ガス、石油などの化石燃料由来のエネルギーが、大量に使用されるようになった。このような経済社会の到来は、人々に快適で便利な生活をもたらした反面、生活環境や地球環境に様々な影響を及ぼしつつある。現在、再生可能な資源の利用や資源の循環的な利用を進め、環境に対する負荷の小さい持続可能な社会を築いていくことが世界的な課題となっている。
持続可能な社会の形成にとって有望な資源の一つとして、「木」が注目されている。「木」は、再使用、再利用、再生産が可能な資源であり、地球温暖化の防止にも寄与することから、その役割が大いに期待されているのである。
今回は、「木」の持っている潜在力を探ってみることにした。
「木」の潜在資源量
まず、「木」の潜在資源量として、森林による供給潜在力をみてみる。
農林水産省の統計によると、我が国の森林面積は約二五〇〇万ヘクタールで国土の三分の二を占め、その四割が主要な木材供給源となる人工林である。平成一二年度の国内木材需要は約一億立方メートルで、主な用途は建材用や製紙用などの産業用である。需要の二割が国産材で賄われている。
人工林の森林資源蓄積は約二二億立方メートルと見積もられており、現在の国内生産量の一一〇年分に相当する。また、国産材として利用されている全樹木の平均生育年数を五〇年と仮定すれば、伐採と植栽を継続することによって、現生産量の二倍の木材を持続的に供給できることになる。ちなみに、森林面積が似かよっている北欧の森林国、スウェーデンとフィンランドの単位面積当たり年間木材生産量は我が国の三倍である。