真名子 敦司
2003年09月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
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2003年09月30日 |
真名子 敦司 |
エネルギー・環境 |
省エネルギー |
情報誌CEL (Vol.66) |
循環型社会の基本はロングライフ化
地球上の自然環境は、大気、水、土壌と生態系によって物質が循環できる仕組みをつくり上げ、生命の存在を可能にしている。そして、我々の日常生活は、自然から資源やエネルギーを採取し、不用物を自然環境へ排出することによって成り立っている。人口が少なく、資源の利用や不用物の排出が限られていた時代には、自然環境の再生作用によって環境の悪化は顕在化しなかった。しかし、二〇世紀の高度経済成長にともなう大量生産・大量消費・大量廃棄の経済活動は、我々に物質的な豊かさをもたらした反面、自然環境への負荷を著しく増大した。
近年、地球環境問題に対する危機意識の高まりとともに、資源の節約や環境負荷の低減に向けた様々な動きがみられるようになった。その動きは、身近なリサイクル活動から地球サミットなどの世界レベルの活動まで広範に及んでいる。その目指すところは、従来の使い捨ての経済活動から脱却し、自然環境との間で物質循環が円滑に継続できるような「循環型社会」を構築して、地球との永続的な共生関係を維持していくことである。
最近、「ロングライフ」という言葉をしばしば耳にする。資源の消費を抑制するためには「もの」を長く使うこと、つまり「もの」のロングライフ化が基本であり、すでに、様々な分野でロングライフ化の試みが始まっている。地球の寿命に黄信号がともりつつある現在、このような試みを拡大・発展させ循環型社会を構築することによって、地球のロングライフ化を実現することこそが、我々人類の共通の目標ではなかろうか。