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弘本 由香里

2008年01月21日

大阪の鑑

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2008年01月21日

弘本 由香里

都市・コミュニティ

まちづくり

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産経新聞夕刊「感・彩・人コラム」

ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。

「ワースト」や「脱ワースト」という言葉で、大阪のまちが語られることの多い昨今。まちの誇りも、まちの愛し方も、見失ってしまいかねない。そんななか、国境をも遥かに越えて、愛されている楽園が、大阪に存在していることを知った。

1991年からずっと、大阪城公園にやってくる野鳥を見つめ続きえてきた、元山裕康さんが教えてくださった、とっておきのお話しである。

大阪城公園は、大阪平野の中央部、大阪市内を南北に走る上町台地の北端に位置する。日本列島に渡ってくる鳥たちの数多くが、まるでまちのなかに浮かぶ緑の小島のような大阪城公園を、頼みとして降り立つのだという。

春に南の海を越えて渡ってくる夏鳥たちは、大阪城公園で羽を休めて各地の山々へ、繁殖地を求めて再び飛び立ち、秋に北の海を越えて渡ってくる冬鳥たちは、越冬地のひとつとして大阪城公園にやってくる。年間を通して生息する鳥たちや、国内を移動している鳥たちも行き来する。さながら、野鳥のハブ空港とでもいうべき様相である。

元山さんは、16年間の観察で148種に上る野鳥を確認し、年平均でも約100種が見られるという。全国の都市公園のなかでも突出した飛来数は、立地の妙と、戦後の植樹によって生み出された、緑の質・量に支えられている。国境を越えて行き交う鳥たちの楽園、国際都市・大阪の鑑としたいものである。

 

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