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弘本 由香里

2007年11月10日

上町台地の<市民知>を結ぶつながりのデザイン

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2007年11月10日

弘本 由香里

都市・コミュニティ

コミュニティ・デザイン

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應典院十周年記念誌『呼吸するお寺』

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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拠点からネットワークの主体へ

出会いといえば、一般的に電撃的な印象で語られることが多い。しかし、遥か遠くから少しずつ近づくような、気の長い出会い方もあるだろう。

奇しくも10周年誌に執筆の機会を頂いた私であるが、應典院との出会い方は、後者である。1997年前後、應典院再建に向けたプロジェクトの動向を存知あげてはいたが、積極的な関係を持つことはなかった。むしろ、ある程度の距離を置いていたというのが正直なところである。

その距離が少し縮まる方向に動きだすのは、2001年頃、高田光雄氏(京都大学大学院教授)を座長とした「上本町コミュニティ・ネットワーク構想研究会」(都市基盤整備公団主催)で、秋田光彦氏(應典院住職)とテーブルを囲むこととなったあたりに始まる。同構想は、残念ながら諸々の社会情勢の変化を受けて実を結ぶに至らなかった。しかし、そこで描いたビジョンを、上町台地上に敷衍して問いかけ実践していこうと、2002年から有志が任意団体の設立準備を始め、2003年5月に秋田氏を代表理事として「上町台地からまちを考える会」が発足し現在に至っている。

改めて振り返って見ると、ちょうどその時期は、應典院の5周年前後にあたる。強いリダーとコンセプトを有する拠点としての評価を越えて、真に開かれたコモンズ(共的資源)に至る具体的な道筋、社会との関係の持ち方を発展的に再構築する、転換期に差し掛かかった頃合だったのではないかと思う。その自問があってこそ、他者との関係性の構築に積極的な意味を見出す、上町台地からまちを考える会(以下、考える会)が成立し得たといえるのではないだろうか。

考える会は、寺町に根を持つ劇場寺院「應典院と應典院寺町倶楽部」、空堀商店街界隈で長屋再生を手がける「からほり倶楽部」、コリアタウン界隈で多文化共生の体験学習プログラム等を展開する「(特活)コリアNGOセンター」をはじめ、上町台地界隈で注目すべき活動を見せる拠点地域・団体の関係者や研究者等が集まって動き始めたネットワーク組織である。個々の背景や行動様式は全く異なりながら、「コモンズの再生」「新旧文化の融合」「多文化共生」などをテーマに、市民の知を引き出し結び合わせていくことで、オールターナティブな価値の創造、課題解決の力を育み、地域の持続的な発展を可能にしていくことができるのではないかとの思いを根底で共有している。

 

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