栗本 智代
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2007年05月09日 |
栗本 智代
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都市・コミュニティ |
地域活性化 |
新聞・雑誌・書籍 |
フジサンケイビジネスアイ掲載コラム |
< 近代モダニズム再見? >大大阪とアートの出会い
大阪府庁には赤い渦、大阪証券取引所ビルには青い三つの三角形( 写真) が浮き出すという不思議なアート作品に象徴される「大阪・アートカレイドスコープ2 0 0 7 」が、今月2 1日まで開催中だ。この催しは、アートを大阪の街や「場」とコラボレートさせ、互いの力を再発見、再発掘する試みである。美術、演劇、ダンス、音楽、デザインなど多様な表現を通じて、最新動向を発信したり、地元のアート系N PO との協働を実現してきた。
第四回目となる今回のテーマは「大大阪にあいたい」。船場を中心としたまちづくりの動きと連携し、市内16 箇所で展開されている。船場界隈では、近代建築が主な舞台である。例えば、船場ビルデイングの屋上では、大阪のおばちゃんを形にしたヒョウ柄の人虫たちが、神社前でまちの邪気払いをしている。芝川ビルでは、白い小人たちに導かれて、美しいオブジェや不思議な映像に出会える。ふだんは中に入りにくい近代建築物の壁やタイルも鑑賞できるから嬉しい。さらに、阿倍野区の築七十年の近代長屋、古い寺社や坂道のある上町台地、大阪駅北側貨物駅跡地の最先端の街づくりを目指した工事中の白いパネル壁もアートの舞台となっている。「アートで、都市や建物に“ ひだ”をつくることで、その場所の固有性や流れた時間を表し、街の可能性を引き出すことができる」と、プロデユーサーの北川フラム氏は述べる。実際、美術館でなく他人の土地でアートを表現しようとすると、思いやコンセプトを現場の持ち主に受け入れてもらわないと始まらない。人や場をまきこみコミュニケーションが生まれる。いろいろな事が繋がっていくプロセスで、まち、人、アートの力が引き出される。