栗本 智代
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2006年12月09日 |
栗本 智代
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都市・コミュニティ |
地域活性化 |
新聞・雑誌・書籍 |
フジサンケイビジネスアイ掲載コラム |
大阪のまち歩きをはじめて十年以上になる。きっかけは、偶然目にしたキタエリアの江戸期の古地図である。現在繁華街である梅田は、明治に入るまで泥田の広がる未開の地であり、近松門左衛門の描く心中物語の舞台でもあった。「曽根崎心中」のお初と徳兵衛の道行コースは、今のヒルトンホテルと駅前ビルの間から露天神へつながる道路であり、2 人が道中で聞いた鐘は、現在天満の釣鐘町2 丁目に実在している。調べれば調べるほど興味が深まった。大阪は、歴史や文化、ユニークなエピソードが埋もれた“ 宝の持ち腐れ” の街である。しかし訪ね歩いてみると、あちこちで、埋もれた宝を掘り起こしてまちづくりや「場」づくりが行われている。例えば、ビジネス街に残るレトロ建築物の活用、緑豊かな寺町でのイベント、昔ながらの路地空間と長屋・町家の再生、市域をロの字型にめぐる堀川やベイエリアの整備など、特徴ある資源を現代に生かす試みでそれぞれ面白い。しかしあまり知られていないことが多く、案内役をつけて歩くガイドコースの必要性を痛感する。本コラムではガイドさながら、大阪の多様な魅力と可能性を浮き彫りにし、紹介していく。