濱 惠介
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2006年01月15日 |
濱 惠介
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住まい・生活 |
住宅 |
新聞・雑誌・書籍 |
マンション生活情報誌、月刊ウェンディ200号 |
我々が享受している豊かな暮らしは、資源やエネルギーの大量消費の上に成り立っています。深刻化する地球温暖化などの環境問題は、資源・エネルギーの大量消費が主因と言えます。住宅・生活もその責任を負っている訳ですが、どうすればこの難題を解決できるでしょうか。ここにご紹介するのは、このような問題意識に根ざした私自身の住宅づくりと暮らし方です。約六年前、奈良で築ニ七年の鉄筋コンクリート住宅を購入し省エネ・エコ住宅へ改修・再生しました。集合住宅でも実現可能な考えや手法が含まれるのでご参考にしてください。今ある住宅を長持ちさせる住宅の新築・建替は資源の消費と廃棄物の発生に直結します。建物の資源量〜重さは、鉄筋コンクリート造(以下RC)集合住宅ならば専用床面積当たり2?もあります。戸当たり80 ?でも150?はあるでしょう。日常生活から出るゴミは戸当たり年間0.5〜0.8 ?ですから、もし取り壊したら150 年分以上の重さに相当する廃棄物が一気に発生します。安易に建替えに走らず、今住んでいる住宅をできるだけ長持ちさせることが、環境への負荷を減らす第一歩です。我慢し続けるのではなく、より住みやすく、省エネ性を改善しながら使いつづけることです。この家もそのような考えで改修しました。
断熱による省エネルギー
まず、暖房エネルギーを減らすため、屋根と外壁の断熱を強化しました。壁に採用したのは外側から断熱する「外断熱」で、これによって日射や外気温の躯体への影響が減り室温が安定します。特にRCのように熱容量のある構造に有効です。窓は熱が最も逃げやすい場所なので、三種類の方法で二重化しました。第一の方法は、高気密・高断熱の木製サッシの新設。第二の方法は、もう一枚サッシを外側に追加。第三の方法は、今あるサッシのガラスを複層化、というものです。断熱性の改善は寒さとともに結露を防ぎ、快適性と健康性を高めることになります。
外断熱は夏の室内環境にも有益です。窓は夕方から朝にかけて開け放ち夜の冷気で躯体を冷やし、昼間は外の熱気を入れないよう窓を閉めます。最高室温はおおむね28℃に止まり、扇風機で十分涼しいです。