濱 惠介
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研究領域 |
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備考 |
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2005年08月20日 |
濱 惠介
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エネルギー・環境 |
再生可能エネルギー |
新聞・雑誌・書籍 |
木質バイオマスエネルギー研究会「木質エネルギー」No.7掲載 |
住生活との関わりでエネルギーが語られるとき、電気・ガス・灯油が「エネルギー」の主役であり、太陽エネルギーなどの再生可能エネルギーは、補助的・趣味的な扱いされているように感じています。
自然光によってモノが見え、植物が成長し、太陽熱と大気や潮流のバランスで気温が保たれていることなどは、当然すぎて意識されないのかもしれません。自然のままのエネルギーでは照明、給湯、調理などに使いにくいので、便利な電気やガスを使う訳ですが、結果として資源枯渇、地球温暖化、放射性廃棄物など大変な問題が生じました。一方、太陽エネルギーがクリーンで無尽蔵と言っても、そのままでは蓄えができず強力な火力も得られません。その点、バイオマスは「貯蔵された太陽エネルギー」と言えます。なかでも焚木は人類が有史以前から頼りにしてきた燃料なのに、ここ数十年は時代遅れのエネルギー源のように扱われてきました。さて、私の家は築30年近い中古物件をいわゆる「エコ住宅」に改修したもので、エネルギー消費による環境負荷を減らす様々な工夫がされています。建築の断熱性と蓄熱性を高めるとともに、再生可能エネルギーを活用する設備を導入しました。太陽光発電設備、太陽熱温水器、そして薪ストーブです。薪ストーブは化石燃料・核燃料に頼らない暖房装置であり、木が燃える炎の雰囲気が格別です。
焚木を燃せる楽しみで、嫌だった冬の到来が待ち遠しくなりました。薪ストーブについてよく受ける質問があります。「焚木を燃せば炭酸ガスが出るが環境に良いのか」、「焚木はどこで手に入れるか」そして「灰の処分はどうしているか」です。第一の質問には、「焚木は太陽エネルギーの缶詰で、森が健全に維持される限り大気中のCO2 は増えない」と説明せねばなりません。次の質問はもっともです。私は山持ちの知り合いから間伐材を、木材加工所から端材を分けてもらうほか、植木の剪定枝を利用しますが、木質エネルギーの復活には利用しやすい流通経路が必要でしょう。第三の質問、灰の行き先は私も少し悩みます。今のところ庭や畑に撒いていますが、理想的な処分ではありません。何故なら、炭素は大気を介し光合成によって再び森へ戻りますが、樹木が土壌から吸収したミネラル分は、循環が断たれるからです。