濱 惠介
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2005年04月01日 |
濱 惠介
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住まい・生活 |
ライフスタイル |
新聞・雑誌・書籍 |
日本建築学会、建築雑誌 2005年4月号 |
建築における持続可能性とって最も重要なことは、材料など資源の採取と廃棄、そして運用エネルギーなど環境負荷を削減することと私は捉えている。しかし、いかに建築が優れていても、営まれる生活や行為が不適切であれば、建築におけるサステナビリティは期待できない。ライフスタイルとは生活様式ないし暮らし方のことであるから、この稿では生活者=住み手と住宅の関わり、そこから見える建築・設備へのフィードバックを軸に論ずる。
■住宅・住み手・サステナビリティ
多くの場合、住宅の形は設計者と住み手の間に合意があって出来た訳ではない。お仕着せの建売住宅や賃貸住宅はもとより、注文住宅であっても、生活と建築の間には常に住みこなしや改善などの調和が求められる。そこに耐久性の高い躯体と可変性に富む内装・設備の分離など、総合的な長寿命化の必要性が生じる。サステナビリティもその文脈で語られるのが自然である。仮にそのような配慮がされていない住宅であっても、品質が高く愛着のある住宅ならば、簡単に取り壊される可能性は低い。
このように住宅が持続的に使われ続けるには、多面的な耐久性と経済的な理由、また心情的な要素等がからむ。住宅の寿命とライフスタイルにも関係があるが、ここでは住まいにおけるエネルギー消費に的を絞ってサステナビリティを考える。建設に要するエネルギーに対し運用時のそれは3倍以上と言われ、日常生活におけるエネルギー消費に伴う環境負荷は最重視されるべき、と考えるからである。
住まいにおけるエネルギー消費はライフスタイルに影響される度合いが大きい。つまり、快適さの求め方と室温の設定、利便性、娯楽性など、どのような生活を送るかによってエネルギー消費の量と質は多様となる。また、住まいではエネルギー消費が家計の出費となり、省エネ行動に直接リンクしていることも他の建築と違う要素である。