弘本 由香里
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研究領域 |
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2005年03月30日 |
弘本 由香里
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都市・コミュニティ |
まちづくり |
新聞・雑誌・書籍 |
大阪府文化団体連合会『大阪府文化芸術年鑑2005年版』 |
文化に対する認識の変化
暮らしを取り巻くあらゆる局面で、経済社会システムの構造転換が求められている中、文化に対する認識が、この数年大きく変化してきているように感じている。高度経済成長期からバブル経済期にかけて、大量生産・大量消費に代表されるフロー型の社会では、文化は否応なく消費の対象として扱われてきた観がある。東京一極集中型のマーケット支配が強力に進んだ時代でもあった。
しかし、今、ストック活用型、自立分散型社会への移行期にあって、必然的にストックの存在する空間としての地域という場所性と、その時空において活かされるストックとしての「地域文化」の認識が立ち上がってきている。東京一極集中型の受身的「文化」に対するオルタナティブとしての場所性に立脚した創造型「地域文化」の胎動ともいえるのではないだろうか。消費対象としての文化から、創造のダイナミズム、創造の基盤としての文化への認識の構造転換が起きていると見てもいいだろう。2004年の大阪を振り返ってみると、そうした変化を象徴的に物語るかのような事象の芽があちこちで見られるのである。以下に、ほんの一端をご紹介しよう。
オルタナティブなメディア
まさに、上記のような社会潮流の申し子とも感じられるNPOが2004年に産声を上げている。特定非営利活動法人「地域文化に関する情報とプロジェクト(recip)」(代表理事・青木敦子氏)である。大阪市を中心に文化行政のパートナーとして、さまざまな文化事業や情報発信に関わってきた独立系のブレーンたちが、その経験から感受したミッションを掲げて船出した組織である。設立趣意書には、「地域における文化活動に関する情報とその流通」「地域における風土/潮流を意識した文化プロジェクト(事業)」「地域における文化活動を俯瞰的に考察し、吟味、批評する土壌」の欠損に対して、「現在の地方分権への流れを鑑みても、より地域に根付いた情報の収集とその集積に基づいた様々な文化活動の実施を目的とした活動体の必要性が感じ取れる」との思いが表明されている。