弘本 由香里
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2005年03月01日 |
弘本 由香里
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都市・コミュニティ |
まちづくり |
新聞・雑誌・書籍 |
(財)統計情報研究開発センター・Sinfonica研究叢書「地域経済と人口統計に関する研究」 |
1.はじめに(問題認識)
人口と住宅及び地域の健全性・活力・生活の質は、切り離すことのできない関係にあるものであろう。経済成長期の都市では、住宅供給を拡大し、労働力人口を吸収してきた。しかし、低成長時代においては、新たな住宅供給の拡大よりも、むしろ過去に供給された大量の住宅ストックをいかにマネジメントするかが、都市経営上の重要な課題となることは間違いないものと思われる。大量の住宅供給ニーズのあった時代には、マクロな住宅供給が急がれ、統計上ももっぱら数量的側面が重視されてきたが、今後ストックマネジメントへの政策転換を進めていくうえで、切実に求められるのは、おそらく住宅・居住政策とコミュニティ政策との一体的な取り組みであろう。そのために欠かせないのが、住宅ストックの地域特性をいかに評価していくかという視点ではないだろうか。こうした問題認識のもとに、本稿では、大阪市を対象として行政区ごとの現在の人口動向と住宅状況を概観し、各地域の住宅ストックの特徴から、今後のストックマネジメントの方向性について多少の考察を試みる。なお、人口動向については1990 年・2000 年の国勢調査データ(総務省統計局)を、住宅動向については1988 年・1998 年の住宅統計調査/住宅・土地統計調査データ(総務省統計局)を使用している。調査手法(実数調査と標本調査)も、調査年次も異なる2 つの調査データを用い、誤差の勘案やミクロデータによる詳細の分析等も行っておらず、また既に約5 年を経過した調査データであり、必ずしも現状を明確に捉えているものではないことを、あらかじめお断りしておきたい。