豊田 尚吾
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2005年02月01日 |
豊田 尚吾
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住まい・生活 |
消費生活 |
新聞・雑誌・書籍 |
(財)統計情報研究開発センター「ESTRELA」2005年2月(No.131)所収 |
1. はじめに
本稿が皆さんの目に届くころにはもはや忘れ去られた存在になってしまっているだろうが、2004年の流行語大賞は「チョー気持ちいい」であった。個人的にはやや違和感があるが、ともかく幸福感を表す最も強烈な言葉であるのだろう。それに対して大賞を逃した「残念!」というフレーズは、口惜しいということなので幸せではない状態に違いない。毎年、残念なことは必ずと言ってよいほど起こるが、国民全体がチョー気持ち良くなることは滅多にない。それが大賞になるかならないかの決め手になったのであろうか。それはともかく、自分を幸せだと思う人はどんな人で、そうでない人はどんな人なのか。個人個人理由があるはずだが、幸せな人のグループと、そうでない人のグループでは何か「違い」があるのだろうか。今回は、様々なグループの背景に存在する「違い」を見つけることで、何か生活に資するヒントが得られないかということを論じる。違いが分かれば、幸せか否か、裕福か否かといったことに対し、より深い洞察が可能になるのではないか。これが本稿の主張である。具体的には決定木分析という手法を用いて、考察を行う。
以下、第2節では、決定木分析は何かということに関し、簡単な紹介を行う。第3節では、筆者の所属する組織において以前行った調査を基に、実際に分析を行う。そこでは、ある質問に対する選択の背景に、様々な要因が存在することが示唆される。そして生活のあり方を考察する際に、それが有益な情報を提供してくれることを述べる。第4節では、人口動態的なデータだけでなく、ライフスタイルや価値観という要素が説明変数になるのではないかという視点で追加的な分析を行う。それによって、より豊かな洞察を得る可能性を示したい。第5節では、以上のような取り組みがいかに生活向上に役に立つかについて考察を行う。