豊田 尚吾
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2005年01月01日 |
豊田 尚吾
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住まい・生活 |
消費生活 |
新聞・雑誌・書籍 |
(財)統計情報研究開発センター「ESTRELA」2005年1月(No.130)所収 |
1. はじめに
環境問題が注目されている。2004年11月5日、ロシアが地球温暖化対策のための京都議定書の批准案に署名したことを受け、同議定書は来年2月16日に発効することが決定した。発効すれば当然日本にも約束履行の義務が生ずる。日本は温室効果ガスの排出量を1990年比6%削減することを約束している。ところが、2004年11月8日、環境省が発表したところによれば、2003年度の温室効果ガスの排出量は1990年比8%増であった。従って、京都議定書の約束を守るためには、現在位置から8+6=14%の削減を実現しなければならないことになる。
このような状況の中、環境問題に対する取り組みが様々な形で行われ、環境税が具体的な検討事項として浮上してきた。環境税は、環境配慮のために生活者がコストを負担することにほかならない。環境配慮の必要性は理解でき、ある程度の負担はやむを得ないと分かっていても、実際自分がどの程度のコストを支払う心の用意があるのかは、自身でも今ひとつ分からない。そこで本稿では、環境配慮に対してどのような価値付けをするのかという問題に焦点を当てて論じてみたい。具体的には、コンジョイント分析を用いて、このような環境配慮に対する価値付けを試みる。以下、第2節では、環境配慮を価値付けるためのひとつの手法として、コンジョイント分析を紹介する。第3節では実際のデータを用いて、環境配慮に対する価値付けがどのように行われるのかを試算する。結果として、財を特徴付けるような主要な属性には及ばないものの、環境配慮という属性にも一定の評価がなされていることを確認する。第4節では、以上の取り組みが、生活戦略にどのような貢献をするのかを検討する。その結果、?自分でも気付いていない価値観を知る手がかりとなる。?価値付けに対する柔軟な思考を醸成する。?様々な政策の評価として利用可能になる。以上のような効果が期待できると結論付ける。