豊田 尚吾
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2004年07月29日 |
豊田 尚吾
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エネルギー・環境 |
地球環境 |
CELレポート (Vol.22) |
環境問題は、一般の関心事項として定着した感がある。1997年に京都で開催された気候変動枠組条約(FCCC)の締約国による国際会議、いわゆるCOP3の頃のような派手さはもうない。しかし、企業が求められる社会的責任の中には、必ずと言っていいほど環境問題が含まれているし、NPO(非営利団体)の活動でも環境を主題にすることが多い。政策的にも環境省は根強く環境税の導入を訴えている(本年7月末の地球温暖化対策推進大綱の改定に向けた省案でも、国内排出権取引の実施とともに化石燃料に対する環境税導入が含まれている。)。
そのような外部環境のもと、企業は、環境配慮や省エネ性能を、商品の持つ望ましい属性として前面に打ち出すことが多くなっている。省エネ基準の設定による機能向上が義務づけられているエアコンなどはもとより、紙で綴じるホッチキスや、備品まで天然素材を使用するレストランなど、様々な取り組みがなされている。
一方で、それらが実効ある取り組みにまで高度化しているかというと十分とは言いがたい。平成16年環境白書によれば、日本の2002年度(平成14年度)の温室効果ガス総排出量は、二酸化炭素換算で13億3,100万トン-CO2(前年度比2.2%増加)である。これは京都議定書の規定による基準年の総排出量(12億3,700万トン)と比較しても7.6%も上回っている水準である。政府は前述した地球温暖化対策推進大綱を軸に対策を講じているが、これといった決め手もなく手詰まりというのが現状ではないだろうか。本稿では、環境に対する意識と現実のギャップに関し、特に若年者に焦点を当てて考察を行おうと考えている。具体的には、大学生に対するアンケートをもとに、環境や省エネといった属性に対する評価の程度を捉える試みを行う。後述するコンジョイント分析を用い、様々な属性を持つテレビに対する選好をもとに、他の属性と環境配慮、省エネ性との相対的な位置づけを計測する。