栗本 智代
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2004年03月31日 |
栗本 智代
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都市・コミュニティ |
まちづくり |
新聞・雑誌・書籍 |
「O−BAY」2004年春号 |
「国際集客都市」「観光立都」「関西文化力」・・・。21世紀に入り、行政や財界を中心に、観光や文化的な側面から都市の活性化を試みる動きが盛んになっている。2002年からは、日本全体の一大事業として「ビジット・ジャパン・キャンペーン」と銘打ち、国あげて観光産業をのばし訪日外国人の倍増を目指そうという戦略も実施されている。ここで、大阪のまちを改めて見直してみると、2001年までに完成した大規模文化施設(例えば、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンや住まいのミュージアム、大阪歴史博物館など)いわゆるハコモノだけに頼るのは難しく、今後はいかに新鮮な文化的ソフトを伴った独自の「場」や「時間」が体験できるか、ということがポイントになってくると思われる。
実際、大阪には、数多の貴重な文化的資源が散在しているが、現代的な視点での編集や発信ができていないため、魅力ある文化コンテンツとしてあまり知られていないものも多く、宝の持ち腐れ状態になっていると言える。それらを、今生きている文化遺産として多くの来阪者(もちろん在阪者も)に認識してもらうことが大切である。もう1つの大阪の魅力を発信する新たな活路を見出す必要がある。
<ミュージアム文化都市 大阪として>
例えば、大阪全体を「活動するミュージアム」として捉えてみよう。フランスで提唱された「エコミュージアム」という概念や実例が参考になる。「エコミュージアム」では、市民が暮らす地域の中に自然や文化遺産が活き活きと保存され、新たな名所や資源も発掘・創造されている。活動の主体は市民であり、ボランティアの力はもちろん公的支援も活用しており、ホスピタリティが備わっているため、観光名所としてビジターにも注目されている。これらの活動の初段階として、“地域の歴史や自然等に関する知識を把握・整理し、価値を再確認した上観光の遺産として整備する”という作業が必要であり、次段階として“対外的な発信”へと続く。この初段階の作業について、大阪は未着手の部分が多い。