豊田 尚吾
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
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2004年01月01日 |
豊田 尚吾
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住まい・生活 |
消費生活 |
学会論文 |
学習院大学「経済論集」40巻4号(通巻121号)/2004年1月(p363-371)所収 |
「生活者のリスク認知と評価に関するデータ分析」(豊田2003)では,生活者がリスクを伴う財を選択する場合,プロスペクト理論を含む,広い意味での期待効用仮説によって彼らの意思決定の方略が理解可能であるという考えのもと,アンケート・データを用いてその構造に関しての考察を行った。その結果,リスクに直面した場合には,適切な状況認識のもとでもあえて確率評価などに歪みを与える場合と,状況認識に錯誤が発生する場合とがあり,両者を分けて考察するべきとの主張に至った。
一方,以上の議論は,あくまで平均的な回答をもとにしたものであり,個々の回答について検討するまでには至らなかった。本稿では,同じデータを用いながらも,個々の回答に何らかのパターンが存在するか,それらを分類することが可能かということに対して更なる考察を加える。第1 節で,本稿での個票データの分析という問題意識を明確にしたあと,第2 節では,等質性分析を用いて,質問に対する回答間の関連性の有無を探る。第3 節では,前節で得られた計算値をもとに,回答者を分類し,各グループの特徴を明らかにする。第4 節では,回答者の分類を,他の指標を用いて推測が可能であるかを検討した後,今後の課題を確認する。
結論は以下のとおりである。個票データの分析により,リスクに対する経済合理性と,熟慮なきギャンブル志向という2 つの要因によって回答を構造的に把握することができた。