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栗本 智代

2003年09月24日

上方芸能 常設小屋で拠点づくり

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2003年09月24日

栗本 智代

都市・コミュニティ

地域活性化

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朝日新聞 「私の視点」

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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ばさりっ!刀で切られた腕が血しぶきをあげて飛び、ぴくぴく動いている……。文楽「・伊勢(い・せ)・音頭(おんど)・恋寝刃(こいのねたば)」の惨殺場面に、アメリカ人留学生とともに興奮した経験がある。彼女が大阪を案内してほしいといった日、幸いにも国立文楽劇場で公演があったので見に行ったのだ。

上方で生まれ育った舞台芸能は地域の誇るべき遺産だが、その代表格の文楽や歌舞伎でさえ、現在関西では毎月は上演されていない。大掛かりな装置や有名俳優でなければ客が集まらないというのでは仕方ないが、気軽に地元の芸能に触れてみたい観光客は多いのではないか。

この夏、私がたまたま訪れた淡路島では、ほぼ一年中、淡路人形浄瑠璃が上演されていた。安価でしかも臨場感たっぷりに観劇できる。後継者の育成や人形座の存続・管理などは財団法人がサポートする。このようないつでも誰でも見られる伝統芸能の常設小屋は、大阪にこそ不可欠である。

さらに、芸能が生まれた街のにぎわいの歴史や、作品と土地との関連性についてのガイドが伴えば、観客の楽しみは倍増する。

私も「なにわの語りべ」と称して近松門左衛門「曽根崎心中」や町のエピソードをミュージカル仕立てで紹介している。常設小屋かスペースがあればもっと頻繁に上演できるだろう。

最近、伝統芸能をより身近に感じてもらおうという試みが増えてきた。歌舞伎では、専用の大劇場を飛び出して新演出による名作が上演されている。

例えば、昨秋、大阪・天満の公園に出現した中村勘九郎の「平成中村座」は、江戸期の芝居小屋を再現した仮設テントで興行した。地元の商店街でお練りがあり、街を借景にした芝居の演出と迫力に客席は総立ちだった。公演中、地元の人々はウキウキした気分で過ごしたと聞く。

 

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