豊田 尚吾
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2003年06月18日 |
豊田 尚吾
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住まい・生活 |
消費生活 |
新聞・雑誌・書籍 |
ガスエネルギー新聞2003年6月18日掲載 |
今年6月から、全日空のマイレージカードが電子マネーEdy(エディ)対応となりました。つまり、マイルが電子マネーと交換できるようになったわけです。Edyがコンビニのam/pmなどでも利用できることを考えると、実質的にキャッシュバックされているのと同じことになります。
これまでも異なるポイント同士を交換するポイント交換システムや、ポイントを現金還元するシステムもありましたが、どうしても使途は限られたり小規模な還元制度であったりということで、今ひとつインパクトには欠けていました。それがいよいよ電子マネーとの交換、しかも航空会社のマイレージという大規模なポイントシステムに採用されることとなったわけです。
このようなポイントカードの発行枚数(国内)は、2000年度で約1億枚と言われています。現在ではポイントカードを1枚も持っていない人というのはほとんどいないのではないでしょうか。ポイントカードは顧客囲い込みのためのマーケティング手法だと考えられてきました。経済学では経済効率性追求の有力な手段として、市場での取引を考えます。そこでは価格のみを判断材料に、需要と供給の釣り合いを取ることが望ましいとされ、基本的に取引は匿名です。
しかし、ポイントカードをはじめとして、企業は消費者との関係を深めようとしています。それは明らかに匿名の取引ではなく、顕名の取引です。そしてその場限りではない、長期的な取引の「関係」を作ろうとしています。企業側は優良な顧客を見つけ出し、彼らと継続的に取引することによって利潤の機会や効率の向上が期待できます。