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豊田 尚吾

2003年06月04日

選択の時代・消費者はどう行動するか(8)「集団思考の落とし穴 盲目的信任を改める工夫を」

作成年月日

執筆者名

研究領域

カテゴリー

媒体(Vol.)

備考

2003年06月04日

豊田 尚吾

住まい・生活

消費生活

新聞・雑誌・書籍

ガスエネルギー新聞2003年6月4日掲載

ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。

三人寄れば文殊の知恵と言います。ビジネスにおいても身の回りに、何かというと「ブレスト(ブレイン・ストーミング)しよう」と呼び掛ける癖のある上司もいるのではないでしょうか。一方で、自らの経験として、むしろ一人に任せてくれた方が高いパフォーマンスを実現できるのにと感じたことはないでしょうか。今回は消費者に対してより良いマーケティングを提供しようとする、私たち供給者側の集団的意思決定に焦点を当ててみたいと思います。

個の確立を重視する欧米とはやや異なる文化を有する日本においては、集団や組織に対する帰属意識が強く、皆で決めたこと、すなわち「集団の知」への信任がことのほか厚いと言えるかもしれません。しかしながら、既存の研究を見るとそれは必ずしも万能でないことがわかります。一般に、集団で意思決定をする場合、個人での決定よりも優れていると期待されるのは、最も優れた案や解決策の効率的な採用ができること、加えて個人がばらばらのままでは思いつかなかったような発想が得られる(創発性)ことが挙げられます。

現在のところ、集団による問題解決能力は、個人の能力を平均的に上回るけれども、集団の最良メンバーの水準には及ばないことが各種の実験で確認されています。結果から見ると文殊様の登場はあまり期待できないようです。

ある特定の状況下での実験であるため、すべて細かく説明して論ずることはできません。しかし、理論的には集団での意思決定において個人の責任が希薄化することによるただ乗りや、議事進行などのための行為の相互調整というコストが存在することによる、損失のプロセスが指摘されています。

 

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