弘本 由香里
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2003年04月25日 |
弘本 由香里
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都市・コミュニティ |
まちづくり |
CELレポート (Vol.17) |
1.背景と計画目標について
関西圏の経済的地盤沈下、その中心である大阪の停滞について、大いに危惧するという記事や報道を目にするようになり久しい。集客施設は集客の機能を十分に果たせず、産業構造の転換も滞り、企業や人材の流出、雇用の悪化など厳しい情勢は否めない。
しかし歴史を振り返ると、大阪はそこに訪れ、住み・暮らし、または商売を営む人々が、生き生きと活動する町であった。町は町民の自治により見事に運営され、各地から集まった人々が新しい商売や学問に挑戦する町だった。裏長屋から小商いを起こし表通りで大店を営むまでに成功する機会は十分にある。敗者復活も多々あっただろう。個々の生き方のモチベーションが、町のにぎわいにつながり、世に言う“天下の台所”の活力が支えられていたと考えられる。また、海外からの様々な物資・人・情報・知識の流入も、おおらかに受け入れる、グローバルな風土も存在する町であった。多くの舶来モノが町に存在し、様々な人があふれ、それらの刺激がまた町のにぎわいを促進していたのである。
そのような大阪の歴史的なポテンシャルを生かし、大阪駅北地区<梅田北ヤード>を対象とした今回の計画では、大阪を「国際的な中継点」として位置づけ、世界各国から「アクセスフリー」に人が集まる「まち」をめざすこととした。
2.コンセプト「OSAKA・グローイング・ハブ・シティ」について
「ハブ ? アクセスフリーな国際的中継点」
今回の計画では、一度に多くの施設を作りこんでしまうのではなく、まずは人の流れを大阪に呼び込むことを重視している。それが短期の滞在でもかまわない。立ち寄るだけでもかまわない。通過してゆくだけの場合もあるだろう。人々が、少しだけでも「まち」と時間を共有したくなる。そこから出会いと発見が生じ、それが「まち」のにぎわいを生む。そしてその刺激は、訪れた人々によって、他の「まち」にも波及していく。