豊田 尚吾
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2003年04月16日 |
豊田 尚吾
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住まい・生活 |
消費生活 |
新聞・雑誌・書籍 |
ガスエネルギー新聞2003年4月16日掲載 |
3月14日、東証マザーズに風力発電専業企業として初めて日本風力開発が上場しました。初値は公募価格の3倍にもなり、注目を集めたので、ご存知の方も多いと思います。風力発電は、自然エネルギーの中でも事業性が高い分野であり、その上、電力会社に環境配慮型エネルギーの利用を義務付ける「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)」が4月に施行になるなどの要因も後押ししたのかもしれません。
エネルギー・環境問題が重要性を増す中、自然エネルギーの活用はその解決策の一つとして関心が高いのですが、先に挙げたような一部の例を除き、事業採算性という面で見れば、まだまだ爆発的な普及を期待する段階にはありません。一方で、採算は合わなくとも、あえて自然エネルギーに関わろうとする消費者が存在するのも事実です。電力会社のグリーン電力基金への参加などはそのよい例でしょう。このような問題を考えるとき、消費者が「社会の一員」だという事実を無視できません。では消費者の行動は、社会との関わりの中でどのように影響を受けているのでしょうか。
人間は“社会的動物”だと言われています。もちろん、消費者も人間です。前回、消費者は不完全な情報処理能力しか持たない中で、認知、評価、意思決定・行動を順次行うと述べました。そのそれぞれに対し、「社会」は消費者に影響を与えます。例を挙げれば、パニックという現象があります。オイル・ショック時に起こった、トイレット・ペーパーの買占め騒動は、群集という社会的存在が消費者の購買行動に大きな影響を与えた典型例ということができます。