豊田 尚吾
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
2003年04月02日 |
豊田 尚吾
|
住まい・生活 |
消費生活 |
新聞・雑誌・書籍 |
ガスエネルギー新聞2003年4月2日掲載 |
モノ余り、情報過多の現代において、生活情報誌が注目されつつあるとのことです(日本経済新聞1月18日付記事「商品テスト情報誌読んで―辛口評価消費に生かす、買い手の視点で比較」より)。非営利団体などが発行する生活情報誌で言えば、財団法人日本消費者協会の「月刊消費者」などが広く知られています。人気の理由は、売り手の宣伝文句があふれる中、「消費者の立場に立った商品情報」を提供していることにあると記事は論じています。では、消費者の立場に立った情報、それを用いた購買の意思決定とはどのようなものなのでしょうか。
一般に消費者の行動には、消費行動(消費支出の配分など)、購買行動(買うかどうかの意思決定)、購買後行動(使用行動や廃棄の決定)があると言われています。その中でも、購買行動に関しては、マーケティングの一分野である消費者行動論が、長らく取り組んできました。現在のところ、主要な理論は、購買を消費者の情報処理の結果と捉える、消費者情報処理の考え方です。
図はその概念を示しています。感覚レジスターというのは、いわゆる目や耳のことで、外からの刺激を情報として取得する部分です。一方、内部では過去の購買経験での評価などを長期記憶として取り出し、両者(外部情報と内部情報)を統合します。その結果を動機付けに従って評価し、態度を決定します。購買後の評価はフィードバックされて長期記憶に保存されることとなります。
このような情報処理のプロセスを経て、購買行動がなされると理解するのです。ここで重要な点は、消費者の能力には限界があり、不完全な情報しか集めることができない状況にある。その下で適応的な選択をするために、消費者は情報処理を行うのだという仮定が背景にあることです。