豊田 尚吾
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2003年03月05日 |
豊田 尚吾
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住まい・生活 |
消費生活 |
新聞・雑誌・書籍 |
ガスエネルギー新聞2003年3月5日掲載 |
都市ガス、LPガスのお客さまは共に2千数百戸。ガス会社の社史などを見ると“○○年、100万戸突破!”といったトピックが取り上げられています。では、1戸1戸のお客さまはどのように生活を営んでいるのでしょうか。お客さま=消費者の行動を考察するために、まずその基盤となる「生活」に注目してみたいと思います。生活の現状を、エネルギー企業が本当に理解しているのかということが今回の問題意識です。
そもそも生活とは生産、消費などを含む、生きるすべての過程を意味しています。伝統的社会では家族が生産、消費の基礎単位であり、生活は周辺の血縁、地縁である程度完結していました。しかし、産業革命後、分業による生産性の上昇とともに、その構造が変化してきました。それを簡単にまとめれば、生活の「個別化」「社会化」と表現できます。
産業革命を機に、生産過程(=仕事)は家庭の外に分離され、生産性が飛躍的に高まった結果、家庭の消費能力も大きく向上しました。それにより、従来家庭の中で協力して取り組まなければならなかった課題が、次々と解決されていきました。エネルギー・インフラの充実による炊事、照明、空調などはその典型と言えるでしょう。逆に言えば、父は父、母は母、子供は子供として個別に生活することが可能になり、家庭内の共同性が希薄になりました。これが生活の個別化です。