山下 満智子
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2002年03月31日 |
山下 満智子
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住まい・生活 |
食生活 |
その他 |
リビング開発部松原氏と共同 |
生活の中心に燃える火−
火は人類の食生活に革命をもたらした
人類史における最大の出来事は、人間が言語をしやべる動物になったことと、火を利用する動物になったことである。
人間は言葉をもつことによって、高度な情報処理が可能になり、複雑で豊かな精神活動をするようになった。言語が精神革命をもたらしたのである。
火の使用は、エネルギー革命として位置づけられる。人間以外の動物は、自らの身体的エネルギーで自然に対応する。火という身体外にあるエネルギーを利用するのは、人間だけである。畜力、水力、風力、電気、原子力など、さまざまなエネルギーの利用がなされるようになるが、人力以外で人間が最初に利用したエネルギーは火である。
照明、暖房などの場合は、火のエネルギーが直接人間の身体に作用する。しかし、おおくの場合、火は自然を変化させ、自然を人間に使いやすくするための媒介物としてもちいられる。粘土の器を加熱して土器をつくる、鉱石を溶かして金属加工をする、森林を焼いて狩猟をしたり、焼き畑農業をおこなうなど、火のエネルギーを介して、人間は自然を利用してきたのである。
火熱を利用することによって、人間は料理をする動物になった。それは、人類の食生活における革命であった。
熱することによって、食材に含まれる有害物が無害化されるし、固い食材をやわらかくして、歯のわるくなった老人でも食べられるようになる。そのままでは、消化できないものも、吸収しやすくなる。この料理革命によって、人類の利用可能な食材の範囲が飛躍的に拡大し、陸地のほとんどの場所に人間が居住可能になったのである。