栗本 智代
作成年月日 |
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研究領域 |
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2002年03月22日 |
栗本 智代
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都市・コミュニティ |
地域活性化 |
新聞・雑誌・書籍 |
日本一低い山は?答えは大阪市港区、USJ の対岸にある「天保山」。海抜四・五米、地元有志による天保山山岳会もあり、登頂者にはその快挙をたたえて「登山証明書」が発行される。このイチビリ精神に共感した登山者はすでに2 万人以上。またこの山岳会長は、大阪の5 低山を廻る指南書を出版した。地域の山を観光名所として生かそうという試みである。
大阪の古い遺産を再生させる動きとして、戦前から残る町屋の活用もある。長屋や路地が残る中央区の谷町や北区の中崎町などで、築百年以上の木造家屋を改装したカフェ、雑貨店やギャラリーが増えている。若い経営者にとっては、町屋独特の太く頑丈な梁や落ち着いた雰囲気が新鮮で、立地や家賃も魅力だという。地元住民の協力を得ながら、アートイベントも実施されている。若者や住民による真面目な遊戯的実験の広がり、小さな実験ミュージアムのネットワーキングが地域活性化への可能性を感じさせる。
実際まちの中にはどんな文化的な資源や動きがあるのか探ろうと、研究仲間と「博物的新大阪文化名鑑」と題した冊子を作成する中で、遺産として見過ごされているものがいかに多いか再確認した。
新たなシナリオがあれば、歴史のある場所ほど意外な魅力をもって今に甦ってくる。大阪や関西全体を「ミュージアム文化都市」として捉え、博物的コンテンツを見直して独自のエッセンスを加えたら、ユニークな名所が誕生しそうだ。