栗本 智代
作成年月日 |
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研究領域 |
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2002年02月28日 |
栗本 智代
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都市・コミュニティ |
地域活性化 |
新聞・雑誌・書籍 |
「では撮りますよー。」(パチッ!)数分後にプリントアウトされた自分の顔を、好きな所に貼り付ける。来場者の顔写真で部屋を彩るという一つのアート空間。先客のにっこりした写真に囲まれて、写された私もいたずらっぽく微笑んでいた。
オフィス街である大阪中央区の大阪ビジネスパーク(OBP)で、ビルの空店舗を利用して学生が自由に空間を演出・表現する試みが行われている。先月は大阪教育大学の学生によって、絵画や粘土、教育実習で生徒が制作した作品などが展示された。ブティックの着替えスペースや宝石店のショーケースなど、美術館とはまったく違う商業空間の特徴を逆利用した発想が新鮮だ。都心へ出てきた若い表現者たちは、マネジメントも含めた初めての体験が嬉しいと目を輝かせていた。
企画をしたのは「OBPアーツプロジェクト」実行委員会。OBPを若手アーティストを育むインキュベーターにしたいと、表現活動の場を提供するという形で行う企業メセナ活動の一環である。昨年からスタートし、既に関西の3大学が参加した。将来ここから世界へはばたく芸術家が生まれる可能性は十分にある。
ビジネス街とアートの出会い。スーツ族も若い感性に触れるうちに、妙案が浮かぶかもしれない。街も人も元気になる。そして、企業が保有する場を文化芸術育成のため地域に開くという、これからの企業の文化支援のあり方を示す実践例としても、注目し続けたい。