栗本 智代
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2002年02月19日 |
栗本 智代
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都市・コミュニティ |
地域活性化 |
新聞・雑誌・書籍 |
「なんのために生まれて、なにをして生きるのか、こたえられないなんて、そんなのは嫌だ!」幼い娘と一緒に見ていた「アンパンマン」のテーマソングにこんな歌詞があり、ドキッとさせられた。
アンパンマンは自らが傷つくのを覚悟で仲間のために悪と闘い抜くが、他の登場人物も一生懸命仕事に励んでいる。パン屋、バイオリン弾き、洗濯屋、小さな王女。その生き生きした姿にもテーマソングの問いかけが重なって感じられる。
私が自分の生き方について真剣に考え始めたのは非常に遅い。二十六歳頃、商品開発管理部門から現部署へ異動になった時である。当時「社会の役に立つのなら何を研究してもいい」と上司に言われたが、明確な問題意識もなく悩み続けた。それまで、大学を出て一流企業に入社して結婚するのが一番の幸せだと親が言うのを聞きながら、テストや受験に追われ、社会人になっても上司が出してくる問いに答えるだけの“指示待ち人間”になっていた。何を専門にどんな生き方がしたいか、本気で考え挑戦したことがなかった。その後、いろいろな出会いに恵まれ、今頃やっとわかりかけた状態だ。
価値観が多様化する中、自分らしい生き方を選ぶのには強い信念も必要になる。娘には近い将来、表現の喜びやさまざまな文化との出会いを通して、自身の気持とじっくり向かい合えるよう手助けをしたい。その時女性の生き方の一例として、私も自信を持ってあの歌を歌っていたい。