弘本 由香里
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2001年12月01日 |
弘本 由香里
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エネルギー・環境 |
その他 |
新聞・雑誌・書籍 |
しがぎん経済文化センター広報誌「かけはし」2001年12月号 |
2001年11月10日。COP7(気候変動枠組み条約第7回締約国会議)で、97年に採択された「京都議定書」を巡る最終合意が成立した。1992年にブラジル・リオデジャネイロで開催された「地球サミット(環境と開発に関する国連会議)」から、来年で10年を迎える。まさに世紀を超えた、国際的議論が続いている。
リオの地球サミットでの合意事項のひとつに「アジェンダ21(21世紀に向けての課題)」がある。「持続可能な発展=地球環境と経済と地域の発展の調和」を実現するために、世界に向けて発せられた行動原則である。そこで提起された問題解決のために、各地域の実状に応じた「ローカルアジェンダ21」の策定が求められてきた。
この呼びかけに、最も鋭敏に応えてきた国の一つが、スウェーデンである。既に全自治体が策定を終え、各地で実質的な環境自治体(エコ・コミューン)づくりのプログラムが着実に始動しはじめている。先日、スウェーデンで複数のエコ・コミューン・プロジェクトをリードしている、コンサルタントのトリビューン・ラーティ氏がナチュラル・ステップ・ジャパン(スウェーデン生まれの環境教育団体)の招きで来日した。
ラーティ氏が語る、エコ・コミューン・プログラムに対する市民の参加・理解の高さ、エコ・ビジネスの市場性(市民ニーズ)に対する確固たる自信に来場者は驚きを隠せなかった。「グローバリズムが地域経済・環境に及ぼす容赦ない破壊力に、本当に立ち向かえるのか?」といった疑問が、会場からは多数寄せられた。その問いに対して、ラーティ氏が用意した最大の印象深いキーワードは、市民の教育・学習のあり方だった。